2012年07月01日

漢方医学と西洋医学の違い

◆発展目覚ましい今日の医学
医学の進歩・発展には、目を見張るものがあります。西洋医学では強力な薬剤や高度な治療・検査手技などが開発されてきましたが、一朝一夕に今に至った訳ではありません。
西洋でも、つい百年ほど前までは薬草による治療が普通でした。しかし、基礎学問の発達に伴い、物事を理論立てて考える資質が育まれ、クスリで言えば、薬草の何が効くのか、どういう化学構造をしているのか、似たような物質でさらに効果的なものを合成できないか、と、次々に強力な新薬を開発してきたのです。

◆細分化、均一化が得意の西洋医学
また、身体の機能や病気の原因を追究するため、解剖学や生理学、病理学を発達させた結果、西洋医学は物事を細分化して考えるのを得意とするようになりました。
  薬物開発過程では、統計学的手法を用いて、少数にしか効かない化合物は無視し、多数の病人に平均して有効で安全な化学合成薬品を見つけ出します。誰でも同じように効くはずだ、人間みな均一だ、という考えだからです。この考えは集団を扱うときにはとくに威力を発揮します。

◆個人差を重んじる漢方医学
一方、中国でも、当然、学問は発達しましたが、分析より経験を重んじ大自然に思いを巡らす中国思想や哲学が、科学や医学にも影響を及ぼし、人間を細分化してまで病気を征服する方向には進みませんでした。 千八百年前に中国で著された『傷寒論』という優れた医学書が日本では江戸期に再評価され、それから発展した医学が、十分機能していたことも影響したのかも知れません。
漢方医学では、天然の素材(生薬) をいくつか組み合わせて一つの処方が作られまますが、患者さんにとって最適の処方は、患者さんの自覚症状や体質・体型、漢方医学独特の診察所見が重視されて選ばれます。
このように漢方医学は、西洋医学から見ると同じ診断名でも、個人個人の違いに重きを置いて治療しますから、個人医学と言えるでしょう。

◆心身二元論と心身一如
西洋医学では、内臓の症状は内臓から、精神症状は脳から、それぞれ由来すると考える、いわゆる心身二元論の立場をとる傾向にあり、臓器別の専門外来があるのもこの流れからで、臓器別・局所的治療を得意とする理由です。
一方、漢方医学では、内臓や精神の症状を切り離さず、心と体は一体だとする心身一如の考えで診療します。病人の身体機能のさまざまな不調を一つに結びつけて治そうとする全体療法が特徴なのです。

◆客観的・分析的な西洋医学
西洋医学では、血液や心電図などの検査データに基づいた診断名をもとに、治療が始まる点も、漢方医学とは大違いです。実際、データを正常化する力は、西洋薬の方が優っています。
ですから、データの異常が病状に直結する病気には西洋薬が優先されましょう。

◆主観的・直観的な漢方医学
これに対して漢方医学では、自覚症状の改善が最大の眼目です。症状が楽になることこそ、身体機能を整えて自己治癒力を発揮させる近道だ、と考えるからです。したがって、データの異常の有無にとらわれず、自覚症状を改善し、QOL(生活の質)を高めようという場合には、漢方薬の出番でしょう。
とにかく漢方は、古い時代に生まれ育った医学ですから、漢方医学的に診た所見と患者さんの自覚症状を重視して治療するのが特徴です。

◆西洋薬と漢方薬の併用も
このように、西洋医学と漢方医学には、いろいろな違いがあります。どちらも優れた一面がありますから、西洋薬と漢方薬を併用することはよくあります。

漢方医学
西洋医学
個人差を認める個人医学の立場▼心身一元論(心身一如)の立場
人間皆同じと考える集団医学の立場
心身二元論の立場
自覚症状を重視 他覚的データを重視
自然治癒力を高めるのを目的とし、身体の不調和をただす全体療法 病的因子を攻撃し原因を強制的に排除する局所的治療

薬も食べ物も元は同じとする考え、天然の素材をそのまま用いる

生薬の有効成分のみを抽出、またはより強力な薬剤を化学合成
実際に用いられた経験に基づいた薬剤
経験的、実践的に伝わった薬剤
治療試験の結果に基づく薬剤
理論的、統計的に開発された薬剤
多彩な症状に対応、マイルドな作用
多くは遅効性
ピンポイント的、鋭い切れ味
ほとんどが即効性
症状軽減、患者の満足度が評価基準
主観的、直感的な効果判定
データの改善、他者の評価を重視
客観的、分析的な効果判定

◆◆漢方についてのページに戻る◆◆

posted by 担当者 at 00:00| 西洋医学との違い | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする